2024年8月に「ブラックマンデー以来の下げ幅」とまで言われた国内株式市場の暴落。株高の下がり様は、SNSでも大きな騒ぎになりました。中には、「もう投資なんてこりごり」という人もいたとか。投資にはリスク(価格の変動)があるものはつきものです。預金にしても、ゼロ金利が解消されたとはいえ、まだまだ低金利と言えるでしょう。物価が上がりつつあり、インフレになるにつれ、現金の価値が下がりつつあります。これからの時代、投資が必要になってくる時代です。MMFは利率を受け取ることができる比較的リスクが低い投資商品です。「投資に興味はあるけど、株式投資は不安」「株式の値動きが不安になる」という人向けに、投資先の一つに入れてもらいたいMMFをご紹介します。
MMFって何?
MMFは「マネー・マーケット・ファンド」の略で、海外の通貨で取引される投資信託の一種です。取り扱いの証券会社によって異なりますが、アメリカドル、南アフリカドル、トルコリラなどの通貨で取り扱っています。南アフリカドル、トルコリラは利率が高いのですが、リスクが高いため、アメリカドルでの取引が安定していいでしょう。
アメリカドルの利率は4.6%~4.8%です。似ている金融商品と比較してみます。
- アメリカドル建てMMF・・・4.7%前後
- アメリカ
- 日本定期預金・・・0.1%のところがほとんど。
- 日本国債(変動金利型10年)・・・0.61%
こうみても、アメリカドル建てMMFの利率が高いことが分かりますね。
アメリカドル建てMMFを購入する際は、円を一度アメリカドルに換えて、MMFを購入します。
MMFが株式よりリスクが低い理由
MMFは、投資信託の一種ですが、一般的な投資信託と違うのは、運用先に株式が入っていないのです。運用先は主に以下の3つのところです。
- 公社債・・・国債など公共団体や、会社などの債権
- CP(コマーシャルペーパー)・・・会社が発行する無担保の約束手形
- CD(譲渡性預金証書)・・・第三社に自由に譲渡できる定期預金
MMFは数々ある公的団体、会社の債権や約束手形(期日までに支払いを約束する証書)、定期預金などを集めたものです。債券や約束手形は支払い義務が発生するものですが、株式は配当金の無配があるように、支払い義務が必ずしもあるわけではありません。
こうした理由から、MMFは株式よりリスクが低く、安定した利率で分配金を受け取ることができるのです。
MMFのメリット・デメリット
比較的リスクが低く、安定した利率を受け取ることができるMMFですが、メリットだけではありません。MMFのメリット・デメリットを紹介します。
メリット
- 比較的安定した利率を受け取れる
- 複利で運用(中・長期での運用に有利)
- 少額から運用が可能
- 為替差益が期待できる
- 解約はいつでも可能
先ほど説明したとおり、比較的安定した利率で受け取ることができます。
複利で運用されるため、雪だるま式に資産を増やしていくことができます。短期間で利益を上げることは難しいですが、中・長期で保有することで雪だるま式に資産が増えていきます。
証券会社によりますが、少額からの運用が可能です。
購入した時期よりも円安になると、為替による利益を得ることができます。
解約はいつでも可能なため、流動性が高い商品です。
デメリット
- 絶対に元本割れをしないわけではない
- ペイオフの対象外
- 為替差損のリスクがある
- 為替手数料がある
安定した運用をされており、株式よりリスクは少ないですが、絶対に元本割れをしないという絶対の保証はありません。日本の銀行預金では元本保証がありますが、MMFには元本保証がありません。
購入した時期よりも円高になると、為替による損失を受けるリスクがあります。
先ほど、MMFを購入する際に円からドルへ換えるという話をしましたが、このときに為替手数料がかかります。手数料については、証券会社によって違いますので、必ず確認しましょう。
MMFの注意点
他にも、メリットにもデメリットにもなりうるポイントがあります。
- NISAの対象外
- 分配金の受け取り方は、再投資方式
NISAの対象外なので、MMFの分配金に税金がかかります。しかし、NISAの対象外だからといって、デメリットなだけではありません。仮に他にNISAを使用しない、特定口座による株式投資で損失がでた場合、損益を合算して税金が優遇される可能性があります。NISAの対象外なので、余剰資金があり株式にはちょっと・・・という方にもMMFはおすすめです。
もう一つ注意が必要なのは、MMFの配当金は月末に集められ、元本と共にまた投資に回されることです。資産が増える効率としては非常にいいのですが、預金の利子のように直接手元に戻ってくるのではないので注意しましょう。
まとめ
MMFは購入してしまえば、価格の変動を気にすることなく投資初心者にでも買いやすい金融商品です。比較的利率が高く、安定した運用がされており、株式投資のように急な暴落の可能性は低いです。しかしながら、為替レートの影響があります。絶対、利益が出ると保証はできませんが、メリット・デメリットを十分に理解し、投資の分散先の一つとしてMMFを検討してみてはいかがでしょうか。